中華一番シリーズ 小川悦司 1995年
今回はスーパー系料理漫画の最右翼の一つ、中華一番。
1995年の中華一番から1997年の真・中華一番、連載され2017年の中華一番・極が現在まで続く長寿コンテンツ。アニメ化もされ、大陸では日本以上に人気があるコンテンツらしく、ドラマ化もされています。
舞台を19世紀の中国にすることで、現代では一般的な手法も革新的な技術ということにできるという、料理勝負の見せ方として説得力のある手法を使っています。信長のシェフなんかに近い感じ。初期はそれで勝負しながら成長していく中華料理漫画だったんですが、話が進んでいくにつれて、料理で人を支配する「裏料理会」やさまざまな外道テクニック、瞬時にして発酵や熟成がおこなえたり、永遠の鮮度を保つことができるが、ふさわしくないものが使えば最悪2度と料理ができない体にされてしまう「伝説の厨具」など、面白要素が登場してきます。
料理漫画とは思えない絵面
資格なきものが伝説の厨具を使うとこうなります。北斗の拳か?
まあ、食材と調味料は現実のものなので「トリコ」なんかよりはリアルよりに感じますが、調理法はスーパー食いしん坊より無理があるものも多いです。
裏料理会五虎星の一人、豹子頭アルカンの技
「天雄火炎車輪」。長江が沸騰する。
特筆すべきは、料理漫画における三大禁じ手①「料理に麻薬を使う」②「コピー料理人」③「先行で味の濃い料理を出すことで審査員の味覚を狂わせ料理対決に勝利」を全て網羅した漫画という事です。食戟のソーマ、ラーメン発見伝は②③はクリアしているんですが①をクリアする事は通常の料理漫画では困難です。鉄鍋のジャンが①③をクリアしてるんですが、②が居ない、惜しい! まあ、黄蘭青が似たようなことやってましたけど。
料理に麻薬の元祖 味平
料理に麻薬といえば、鉄鍋のジャン
ここから主人公はどうやって逆転するんですか⁉︎
と言わしめた、先手味覚封じ
食戟のソーマのコピー
カス先輩の味覚封じ
意外ににこういうことやるラーメン発見伝
コピー料理人天宮
激辛ラーメンで次の審査のラーメンの味を感じさせなくする味覚封じ
中華一番の一連のシーン
料理に麻薬。ダイレクトにけし
コピー料理人
ちゃんと技名までついている舌覚疲労封
大体料理に麻薬は禁じ手すぎるので、「包丁人味平」と「鉄鍋のジャン」以外ではほとんど見た事ないんですけど「中華一番」では複数回登場します。治安悪すぎるだろ……。
そんな中華一番のカレー料理シーンがこちら、19世紀中国という事でカレー自体が一般的でない世界なんですが、劉昴星は自力で中華料理からカレーにたどり着きます。
意外と普通……。
玉ねぎ、ニンニク、生姜を炒め、ターメリックで色をつけて、カイエンペッパー、ブラックペッパーで辛さを、ローリエ、コリアンダー、シナモン、クローブ、カルダモン、フェンネルで羊肉の臭み消し、リンゴとはちみつでコクとマイルドさを加えたカレーです。
珍しさと、中華からカレーにたどり着いた発想で勝利しますが、めっちゃ食いたいとはならないんですよね。普通の現代のカレーといったところ。まあ、予選の勝負なのでそれなりの勝利でまとめたという感じです。
中華一番、毒膳料理から活人料理まで幅広いので、勝負どころの料理は人外の料理になりますからね……。