エレンオルンのカレー屋開業顛末記&カレー漫画レビュー

漫画とカレー好きが高じてカレー漫画を読んでるうちにまとめたくなりました

カレー屋開業計画顛末記⑦ メニュー開発その一 隙間のカレー

 ここから具体的なメニューを決めていく。

 

 前回のカレー大学メニュー創造学科の受講から、まずターゲットとする客層を考えて、カレーの種類を決め、そこに向けたメニューの試作を重ねる事と教わった。プロは候補だけで何百と試作を作るらしいが流石にそれは厳しいので100レシピほど試して、その中から4〜5種をメインのメニューにしようと思う。

 

 まず、ターゲットの選定。立地的にサラリーマンの昼食や学生街、住宅街ではない。老舗で修行したわけでも、僕はディープな引きがあるわけでもないため、マニア向けよりはライト層。自分の好みに合わせて量をガッツリ食べる若い男性より、中年や女性の、カレーが好きな層をターゲットにする。

 

 カレーの種類は必然的にヘルシー指向の南インド風スパイスカレーを1つ。中年や女性にもサラリと食べられるメニューにしたい。勿論数種類作るわけなので、他のものも作る。大体よくあるケースとしては、ビーフ、ポーク、チキン、キーマ、ダル、フィッシュから数種類だろうか。

 

 競合店舗の面から考えるとインドネパール系は店舗数が多すぎて競合しやすい上に自分の好みからズレる。4700店舗のカレー店のうち2000店舗がインネパ系という話がある。実際最寄でもインネパ系の比率はかなり高い。そんな環境なのでインネパ系以外を食べたいという欲求があるというのもある。

 

 次にスープカレー、全国300店舗程だそうだが、都内にもかなり多い。八王子の食べログ100名店にはいっている奥芝商店なんかはかなりハイレベルでバランスが取れているが、スープカレーはスープによると物足りず、カレーに寄せるとスープの意味が薄れるので難しい上に、映えの売りになるビジュアルの素である野菜が美味しくないといけない。正直ハードルの高いカレーだと思う。

 

 それから欧風カレー、ここにはCoCo壱という強大なライバルが存在する。カレー屋に存在する「辛すぎて合わない」「辛いのが食べたい」「カツカレーとかガッツリ食べたい」「カロリー高いのはちょっと」「ご飯の量が多いから食べきれない」「飽きてくる」「色々食べたい」などの、相反するニーズ、特に少ないメニュー数だと直面する入り口で客のハードルを上げてしまう問題を、「辛さの調整可能、ご飯の量調整可能、豊富なトッピング」によりほぼ解決をしている。尚且つ複数の揚げ物など、個人店でやるとコストも手間もかかる調理にも対応している。そして全国1200店舗というぶっちぎりのチェーン展開によりアクセスもしやすいことにより、「自炊はしないけどカレーは好き」な男どもにとってはぶっちゃけ松屋CoCo壱があれば大体事足りるのでは?という環境を作り出している。このCoCo壱の牙城を崩すのは、赤カブトの牙城を崩すくらいに困難だ。

 

 では、個人店舗で対抗するためにはどんなメニューを作ればいいのだろうか?

 美味しいという漠然な答えではなく、大手チェーン店にないもの、ニーズがあるがそれほど提供されてない隙間のカレーはなんだろう。

 

 好きなカレーのアンケートを見る。

 アンケートの時期や男女の好み、メディアによっても異なるが、一つ例を出すと、

ビーフ>ポーク>チキン>バターチキン>カツカレー>ベジタリアン>キーマ>インド>グリーン>シーフード>スープ>マッサマン>焼き、ホワイト、薬膳、サグ

となっている。

ご当地カレーのランキングでは海軍>スープ>金沢>焼き>オム>フレンチとなっている。

 

 ご当地でなければ名乗れない海軍は別枠として、やはり人気のあるものは使われている。比較的専門店が少ないのがシーフード、グリーンカレーあたりだろうか。あとは、ヘルシーカレーは常に売り文句となっている。2024年のトレンドだと新欧風カレー。作り置きができないのでオペレーションに組み込みにくいスパイスカレー(時間が経つと風味が飛ぶ)、シーフード(煮込むと硬くなる)あたりが個人店の強みにできそうではある。

 

 キーワードとしては、ヘルシー(油砂糖不使用、化調不使用など)、デカ盛り、映え、あたりだろうか。最近はあまり見ないが辛さのチャレンジや激辛もとっつきやすいトピックではあるだろう。「地元の食材を活かした」もその土地の売りを活かして新鮮な食材をアピールしやすいだろう。

 

 暫定的だが、中年でもサラリと食べられるカレーとして、南インド風スパイスカレー、同じく出汁や和風に寄せたヘルシーカレー、精進カレー、ご当地の食材を活かしたカレー、この辺りにトレンドの新欧風カレー、それからシーフードカレーを試作してみようと思う。

 

 今まで使ってきたカレーレシピ、気になってメモっていたレシピ、参考のためにみているハウスとS&Bのレシピやレシピ本から和風やシーフード系のもの気になるものをチョイスして大体100レシピを作ってみる。

 

 サラッとしたフィッシュと和風キーマ、少しガッツリ行きたい人のための王道チキンとポーク、変わり種を1つの5種が候補だ。

 

 シーフードに関しては、イカの生臭さが苦手で、海老アレルギーの為、ホタテ、アサリ、タコ、鮎、牡蠣、イカスミ、ハマグリあたりを活かせるか試してみよう。

 

 同時に、あわせるライスをクミン、サフランターメリック、ウーロン茶などで作り組み合わせを考えるのと、副菜を試していくとする。仕事の傍でやる事になるのでしばらくは時間がかかりそうだ。