エレンオルンのカレー屋開業顛末記&カレー漫画レビュー

漫画とカレー好きが高じてカレー漫画を読んでるうちにまとめたくなりました

カレー屋開業顛末記② 開業シミュレーション

 カレー屋をやってみてもいいかも知れない。そう考えたら次は下調べだ。半ば趣味でやるとしても流石に赤字の垂れ流しは避けたい。準備は必要だ。できればプラス、最低でもトントンは目指したい。


 さて、ではどんな店にするのか、具体的なメニューは後日考えるとして、好みとしてはスパイスカレーまたは欧風カレーの専門店。規模としては1人2人で運営できるこじんまりとした店ということになる。

 今まで行った店で考えても、席数で10席程度がはじめてやる店としては妥当な所だろう。広すぎても家賃がかかるし、初期投資が多くなる。席数が多くなればそれに対応する人件費もかかる。20席を超えるような規模だと相当に知名度か広告か立地が問われるだろう。、


 ではそれくらいの規模の店舗を運営するとして、初期投資を計算してみよう。西多摩在住なので店舗は八王子か立川の駅近く。試しに貸店舗を調べてみる。想定する物件に近いもので考えてみるのがいいだろう。

 

 ちなみに概算で算出しているウェブサイトによると開業資金は平均1800万円、大体500万から3000万が目安になるらしいが、レンジが広すぎて全然参考にならない。もうちょっと具体的な数値が欲しい。


 ということでテナントを検索、

駅徒歩5分、13坪、家賃月25万、敷金なし礼金1ヶ月分保証金3ヶ月分 管理費1.8万、

実際に出ていたこの物件が想定に近い。

 この物件で物件契約費、内装工事費、厨房設備費、備品、広告費、運転資金などを含めた初期投資を考えてみる。


 物件契約費は家賃25万円✖️保証金3ヶ月+礼金1ヶ月で100万、厨房設備費と備品、広告費などは開業準備紹介サイトなどの数字を引っ張ってくると、設備費200万、備品50万、宣伝費50万。ただし、広告はSNSだよりでそれほど力を入れない予定としておく。


 また、開業しばらくは認知不足でお客さんが確保できないことを考えて運転資金は固定費の半年分を準備するようにとある。家賃と電気ガス水道、原材料費、広告費、人件費✖️6ヶ月が必要となる。人件費は軌道に乗るまで1人でやる、広告はInstagramと X、食べログと看板にたよるとしても、材料費と洗剤やおしぼりあたりで甘めの想定で家賃26.8万+備品電気ガス水道10万円+原材料費25万円+広告3.2万として65万円✖️6=最低390万円必要となる。


 問題は内装工事費。坪40万で計算している記事を見たが、東日本大震災東京オリンピックウクライナ問題などの資材不足、人手不足で工事費は鰻登りに上がっている。知り合いの設計士に聞いた所、現在では坪80万みてほしい。下手したら90万とのこと。スケルトンで借りて内装を1からやる場合、この規模でも内装工事費だけで1040万円となる。これはでかい。一応内装工事リースというものもあるが、こけた時のこと考えて初期投資はできるだけ押さえておきたい。


そうなると

物件契約費 100万

内装工事費 1070万円

厨房設備費 200万(冷蔵庫、冷凍庫、炊飯器、作業台、洗浄設備、オーブン、レンジ、製氷器、テーブル、椅子、調理器具など)

備品   50万(メニュー表、食器、コースター、紙ナプキン、紙おしぼり、トレイ、伝票、傘立て、時計、掃除道具、ゴミ箱、ストロー、レジなど)

広告費  50万(看板、ネット広告、フリーペーパーなど)

運転資金 390万円

で1860万円となり、大体平均値となる。

物件をいくつか見た感じ、保証金が6-10ヶ月分、仲介手数料が3ヶ月分のところが多いので物件契約費はもう少しかかる可能性が高い。


 これはなかなか厳しい。

経営指標通りならば、坪売上は月二十万、つまり13坪での売り上げは260万が目安。利益は売上の10%が目標のため月利益は26万。ここから生活しながら1860万を回収するということになる。もちろん大成功して問題なしの場合もあるだろうが、飲食初めてでそんな夢を期待するわけにはいかない。


 初期投資の大半を占める内装工事費を削ればもう少しなんとかなるので、スケルトンの建物より飲食の居抜き、できればカレー屋の居抜きがあれば大幅に初期投資を減らすことはできる。この場合内装代は200万程度、900万程度の初期投資で開業をすることができる……んだけど、こちらもなかなか厳しい。


 まず、探してみたがそもそもカレー屋の居抜き店舗というものがほとんど見つからない。

 次に、飲食店の成功失敗は9割立地で決まると言われているので前の店舗がこけたのであれば同じく失敗する可能性が高い。大手チェーンが強いのはここのノウハウを抑えているからだ。前の店舗が歳で引退したとか、あまりにも周辺環境と店舗形態があってなかったとか、余程放漫経営だったとか、接客が酷かったとかでない限り、普通にやって普通に潰れたなら二の舞になる可能性が高い。ここでしか食べられない唯一無二のメニューだとか、なんとかグランプリ優勝のシェフだとか派手なオプションと料理のスキルがあればまた違うかもしれないが、僕はそんな肩書きもスキルもない。そんな立地度外視で客が来るのは1%の上澄層だ。美味しいものをつくっていれば、自然に客が付いてくるというなどというナイーブな考えは捨てろとラーメンハゲも言っていた。

 

 詰まるところ飲食業は立地とプレゼンで勝負にならなければ味と接客で取り戻すことはほぼ不可能なのだ。(客がついてくれるまで赤字経営をし続ける資金力と、SNSバズなどの起爆剤があればまた別だが)


 そんなわけでいきなりテナント開業はなかなか難しい。今の時代にこれが選択肢に入るのは、チェーンノウハウがあり看板で集客が可能な大手飲食店、個人なら有名店で修行して客がついた状態での独立(近いのが二郎系)、または、自宅が店舗等テナント代・内装費がごく軽微で済む場合、豊富な事故資金がある場合、居抜きで有料物件が出た場合、ガレージ改装など初期投資が抑えられて営業形態が自分のやりたい店舗形態と噛み合った時くらいだろう。


 では、開業は無理だろうか?

 ひとまず他の方法を考えてみよう。