エレンオルンのカレー屋開業顛末記&カレー漫画レビュー

漫画とカレー好きが高じてカレー漫画を読んでるうちにまとめたくなりました

カレー屋開業計画顛末記⑧メニュー開発その2 食べ歩き

 前回から、開業形態が決まり、メニューの創作を始めた。しばらくはレシピを決める為に試作を重ねていく事になる。

 

 それと並行して実店舗の探索、研究の一環として食べ歩きをしようと思う。今のトレンドも知りたいし、実際のオペレーションやメニュー、マーケティングも参考にしたい。食べログ100名店やカレー食べ歩きブログ、いくつかの都内カレーランキングを参考に197店舗候補をあげたので、少しずつこちらも尋ねてみようと思う。

 

 メニューは勿論、サイドメニュー、ドリンクのラインナップ、お酒の有無と種類、食器や皿、盛り付け、小物の選択、キャッチコピーやその店特有のヒキ、蘊蓄、差別化している事、メニュー表の記載や見せ方、料金など知りたいことは山ほどある。

 

 仮想だがライバルとなる八王子や立川のカレー屋を回ってみたが、印象に残るのはやはり端的に店の特徴を伝えている店だ。

 

例えば八王子の老舗、これく亭は、

「水を使わないミルクで煮込んだスイパシーだけど中年でも食べられるカレー」

 20種のスパイスを使い、水を使わずににミルクだけで煮込んだコクがあるけどあっさりとしてくどくない味。ビジュアル的にもターメリックライスのピラミッドと、サラダにはレタスソルトが風味を添える。ウッディな雰囲気のお店の居心地の良さといい、規模やメニュー数、価格帯的にも目指すべきお店の形だと思う。

 

同じく八王子の奥芝商店は、

「旬のものや地元食材を使った、本場札幌で大人気のスープカレー専門店」

 スープカレーはビジュアルが映えるが、素揚げと煮込みと使い分け、味の点でもビジュアルの点でもクオリティを高く仕上げている。メニュー写真の綺麗さやクオリティは随一。素揚げのブロッコリーのしゃくしゃくした歯応えはクセになるし、味も美味い。地元の野菜を使った事の周知もお店の地域に根ざしたメニューを出すというスタンスを明確にしている。スープも、ブレイクした元となった海老以外に鶏、薬膳と選択が可能で、同様にトッピング、辛さ、ご飯の量も選べるため、CoCo壱並みに客の選択肢がおおく、ニーズに対応できる。規模が大きいため、ちょっと準備とオペレーションが大変な為参考にはできないが、特徴を明確にしている点では参考になる。メニューの写真はここが一番。

 

立川の有名店レインボウスパイスは、

「行列ができる小麦粉不使用の本格カレー」

 こちらは店舗の規模自体は小規模ながら行列ができるという客数ゆえか、この系統の店にしては破格に安い。ランチのあいがけがドリンク付きで1000円しない。ちょっとこの点は真似できないが、健康志向ながら本格的なスパイスカレーを提供するというコンセプトと、コンパクトな店舗は大いに参考になる。

 

同じく立川のカレー会議室は、

「小麦粉、化学調味料は使わず、油・砂糖少なめの、新鮮な野菜を使ったヘルシースパイスカレー」

 目指す店舗の規模、メニュー数、コンセプトが近いのは「これく亭」、「レインボウスパイス」「カレー会議室」なのだが、「これく亭」は全年代に対応できるマイルドさがあり、「レインボウスパイス」は日本向けにマイルドにしつつ現地の本格的な味の輪郭をのこし、カレー会議室はおしゃれという点で特徴をだしている。

 単にヘルシーではなく、中央のご飯で二分したあいがけカレーのビジュアルに、12種から4つ選ぶことができる副菜の楽しさとオシャレ感、食べ口の軽さは他のカレー屋とは一線を画している。

 

 他にも、石焼カレーを売りにした八王子のベリーウェル、あえてカレー蕎麦専門で勝負しているカレー蕎麦大河、店舗名通りに燻製を売りにしている燻製とスープカレーの店けむり、味噌カレーのがじゅまるの杜など、特徴があれば説明もしやすいし、何より記憶に残る。反対に、個性は少ないが全体的にレベルが高く居心地がいいカフェのカレーなんかは美味しい印象はあるが記憶に残りにくい。

 

 レシピ開発にも直結するが、お店の特徴、ヒキを強調する事、キャッチコピーや写真、メニューでそれをアピールする事はとても重要だ。

 

 試作とともに、しばらくは食べ歩きをして、自分のやりたい店の形を模索したいと思う。

そういう訳でしばらくはこのブログもお休みです。

 

進展があればまた。

カレー屋開業計画顛末記⑦ メニュー開発その一 隙間のカレー

 ここから具体的なメニューを決めていく。

 

 前回のカレー大学メニュー創造学科の受講から、まずターゲットとする客層を考えて、カレーの種類を決め、そこに向けたメニューの試作を重ねる事と教わった。プロは候補だけで何百と試作を作るらしいが流石にそれは厳しいので100レシピほど試して、その中から4〜5種をメインのメニューにしようと思う。

 

 まず、ターゲットの選定。立地的にサラリーマンの昼食や学生街、住宅街ではない。老舗で修行したわけでも、僕はディープな引きがあるわけでもないため、マニア向けよりはライト層。自分の好みに合わせて量をガッツリ食べる若い男性より、中年や女性の、カレーが好きな層をターゲットにする。

 

 カレーの種類は必然的にヘルシー指向の南インド風スパイスカレーを1つ。中年や女性にもサラリと食べられるメニューにしたい。勿論数種類作るわけなので、他のものも作る。大体よくあるケースとしては、ビーフ、ポーク、チキン、キーマ、ダル、フィッシュから数種類だろうか。

 

 競合店舗の面から考えるとインドネパール系は店舗数が多すぎて競合しやすい上に自分の好みからズレる。4700店舗のカレー店のうち2000店舗がインネパ系という話がある。実際最寄でもインネパ系の比率はかなり高い。そんな環境なのでインネパ系以外を食べたいという欲求があるというのもある。

 

 次にスープカレー、全国300店舗程だそうだが、都内にもかなり多い。八王子の食べログ100名店にはいっている奥芝商店なんかはかなりハイレベルでバランスが取れているが、スープカレーはスープによると物足りず、カレーに寄せるとスープの意味が薄れるので難しい上に、映えの売りになるビジュアルの素である野菜が美味しくないといけない。正直ハードルの高いカレーだと思う。

 

 それから欧風カレー、ここにはCoCo壱という強大なライバルが存在する。カレー屋に存在する「辛すぎて合わない」「辛いのが食べたい」「カツカレーとかガッツリ食べたい」「カロリー高いのはちょっと」「ご飯の量が多いから食べきれない」「飽きてくる」「色々食べたい」などの、相反するニーズ、特に少ないメニュー数だと直面する入り口で客のハードルを上げてしまう問題を、「辛さの調整可能、ご飯の量調整可能、豊富なトッピング」によりほぼ解決をしている。尚且つ複数の揚げ物など、個人店でやるとコストも手間もかかる調理にも対応している。そして全国1200店舗というぶっちぎりのチェーン展開によりアクセスもしやすいことにより、「自炊はしないけどカレーは好き」な男どもにとってはぶっちゃけ松屋CoCo壱があれば大体事足りるのでは?という環境を作り出している。このCoCo壱の牙城を崩すのは、赤カブトの牙城を崩すくらいに困難だ。

 

 では、個人店舗で対抗するためにはどんなメニューを作ればいいのだろうか?

 美味しいという漠然な答えではなく、大手チェーン店にないもの、ニーズがあるがそれほど提供されてない隙間のカレーはなんだろう。

 

 好きなカレーのアンケートを見る。

 アンケートの時期や男女の好み、メディアによっても異なるが、一つ例を出すと、

ビーフ>ポーク>チキン>バターチキン>カツカレー>ベジタリアン>キーマ>インド>グリーン>シーフード>スープ>マッサマン>焼き、ホワイト、薬膳、サグ

となっている。

ご当地カレーのランキングでは海軍>スープ>金沢>焼き>オム>フレンチとなっている。

 

 ご当地でなければ名乗れない海軍は別枠として、やはり人気のあるものは使われている。比較的専門店が少ないのがシーフード、グリーンカレーあたりだろうか。あとは、ヘルシーカレーは常に売り文句となっている。2024年のトレンドだと新欧風カレー。作り置きができないのでオペレーションに組み込みにくいスパイスカレー(時間が経つと風味が飛ぶ)、シーフード(煮込むと硬くなる)あたりが個人店の強みにできそうではある。

 

 キーワードとしては、ヘルシー(油砂糖不使用、化調不使用など)、デカ盛り、映え、あたりだろうか。最近はあまり見ないが辛さのチャレンジや激辛もとっつきやすいトピックではあるだろう。「地元の食材を活かした」もその土地の売りを活かして新鮮な食材をアピールしやすいだろう。

 

 暫定的だが、中年でもサラリと食べられるカレーとして、南インド風スパイスカレー、同じく出汁や和風に寄せたヘルシーカレー、精進カレー、ご当地の食材を活かしたカレー、この辺りにトレンドの新欧風カレー、それからシーフードカレーを試作してみようと思う。

 

 今まで使ってきたカレーレシピ、気になってメモっていたレシピ、参考のためにみているハウスとS&Bのレシピやレシピ本から和風やシーフード系のもの気になるものをチョイスして大体100レシピを作ってみる。

 

 サラッとしたフィッシュと和風キーマ、少しガッツリ行きたい人のための王道チキンとポーク、変わり種を1つの5種が候補だ。

 

 シーフードに関しては、イカの生臭さが苦手で、海老アレルギーの為、ホタテ、アサリ、タコ、鮎、牡蠣、イカスミ、ハマグリあたりを活かせるか試してみよう。

 

 同時に、あわせるライスをクミン、サフランターメリック、ウーロン茶などで作り組み合わせを考えるのと、副菜を試していくとする。仕事の傍でやる事になるのでしばらくは時間がかかりそうだ。

 

 

 

 

カレー屋開業計画顛末記⑥ 資格取得 カレー伝道師およびカレーエキスパート

 カレー関連の資格を調べてみた結果、実技はまた学ぶとして座学をとりあえず受講することにした。それほど単価が高くなく、肩書としてハッタリが効きそうなところで、カレーエキスパート、カレーマイスター、スパイス&ハーブ検定を取ろうと思う。

 

 マイスター、スパイス&ハーブ検定は秋口に募集があるようなのでカレー大学総合学部をまず受講してみた。

 

 総合学部はWEB受講の場合、6時間半の動画を100ページのテキストを使用して視聴していく。視聴期間は1週間。視聴後に択一試験あり。試験合格でカレー伝道師認定となる。

 内容はカレーの定義、歴史、背景、流行など主に知識的なもの。倍速で視聴可能だが主催の滑舌がそれほど良くないので、倍速の場合かなり聞き取りにくい。

 

 総合学部はカレーの基礎知識メインなので、カレー蘊蓄本を読めばある程度入ってくる知識と、カレー食べ歩きとかしていたら知っている知識が多く、かなりコストは悪い。それこそ主催の井上さんの本とカレー機構のHPを読んだら8割は得られる知識だったりする。また、通学の場合は違うのだろうがWEB受講の場合、おそらく立ち上げ時に録画した動画を見ることになるためだいぶ知識が古い。2014年創立なのでおそらく10年前の知識ベース。
 話の内容聞く限りスープカレーがまだ一般的じゃないくらい頃の話だ。
毎年講義してるならアップデートして欲しい。

 

 内容自体は六部構成。
 一部はカレーの定義、語源、スパイスの定義、成り立ち、ベースとなるスパイス、役割、カレーの種類あたり。まあ押さえるべきところは押さえておかないという内容。

 二部はカレーの歴史、誕生、流通、日本への伝来、カレーの記録、最古のレシピ、カレーが国民食となった経緯、カレー粉、カレールー、レトルトの誕生日、専門店の増加、カレーテーマパークについて。

 

 三部は日本人のカレー消費数、カレーの消費の多い都市、カレー点の多い都市、カレーのトレンド、街おこし、ご当地カレー


 四部さカレールーの歴史、ルーの特徴、代表的な各メーカーの商品、価格帯、カレー関連書籍について。


 五部は北インドカレー、南インドカレー、欧風カレーの具体的な作り方、隠し味について。

 

 六部は食べ歩きの時に何を記録するのか、どういう店に行くのか、己の嗜好は何カレーなのかを知る事。

と言った内容。

 

 ベースの調理法なんかに関してはいつくかレシピを作ってみれば大体わかる内容なので……。
ほんとに基礎的な知識と雑学を知るための講座といった感触。(そしてそれくらいの知識であれば本とネットと少々の実践で何とかなる範囲)

 ただ、カレーはラーメンなどと違い「不味い」事はほとんどないため、ある程度のクオリティが担保されているので、採点は食べる人の嗜好による所が多いという知見や食べ歩きは体調や気候でも変わるので詳細にメモをしておくことという点など参考になる点もあった。

 専門コースになればもう少し実務的な内容に沿うのだろうけど、専門コース前に総合学部が受講必須なので、カレー屋をやりたい人におすすめできるかと言われると微妙なところ。どっちかというとカレーマニアとか、カレー好きが高じて職業にしたような人が知識を固めるために受けるような内容になる。

 

 とりあえずカレー伝道師を取得したわけだが、座学の知識面だけの講義に11万払ってカレーエキスパートまで取るのは ちょっと躊躇する。ここは保留して他の受講期間がくるのを待つかと思っていたが、年始よりセールがあり、専門学科を格安で受講できる事になったので、専門学科のカレーメニュー創造学科を受講してみた。

 

 こちらは学長が商社出身だけあって、商品(メニュー)開発とマーケティングをしっかりやりなさいというお話。繁盛店の事例と、ターゲッティング、プロのメニュー開発工程のやり方あたりを教えてくれる。マーケティングコンサルティングが主な内容だ。こちらは、まあ実店舗でコンサルタントを頼むよりは安いだろうし、飲食見てるとナチュラルにできてる店舗(人)もいるけど無頓着な人も多いので、料理は好きだけど宣伝とか商品アピールとか全然わからないみたいな層にはとてもいい講座だと思う。反面今のネット社会だと講義の7割がたは、やる気がある人は調べればわかる内容になってしまうので、万人におすすめかと言われると微妙な点もある。企業で働いて脱サラして飲食みたいなパターンだとご存知みたいな内容になるかもしれない。(脱サラして飲食パターンでの失敗例多いので一概には言えないが)

高校→調理師学校→飲食店勤務→独立みたいなコースだと、マーケティングやらに触れる機会が少ないのでいいのかなあ……という気もする。

 

 とりあえずメニュー開発方法と、売れる商品を作るための考えは参考になった。まあこの辺の話はターゲッティング、ブランディング、ネーミング、ストーリー付与あたりに収束する。料理の腕は悪くないのにいまいちブレイクしないとかそういう悩み方をしてる人にはおすすめする。ただ、調理法などを教えてくれるわけではないので、その辺りは前項の料理教室の方に頼ることになる。

 

 カレー大学はあくまで、コンセプトと売り方を教えてくれる場所という事で、この辺りはカレーマイスターや、スパイスソムリエなんかとは違う点だ。

 

では、次からいよいよメニュー開発に行こう。

 

カレー屋開業計画顛末記⑤ カレー関連の勉強と資格について

 さて、ここまでで大まかな開業準備、資金、形態についてはあたりがついた。

 

場所 八王子、立川駅徒歩圏内

営業形態 間借りカレー ワンオペ

営業時間 木日10:00〜15:00 5時間(準備片付けに前後1時間で9:00〜16:00が店舗使用時間)

店舗面積 7〜10坪 14席程度

家賃 5.5〜8.5万円

必要資金 初期投資 約5万円

     月経費 約20万円

目標 40食完売

目標利益 月8日営業で4万円

メニュー ワンプレートカレー数種 ドリンク

     欧風カレーまたは創作スパイスカレー

単価 カレー1000円(原価250円)

   ドリンク 500円 (原価80円)

 

 簡単に書くとこういう形だ。

 

 次に考えるのはソフト面、具体的なメニューについてだが、僕もカレーに関しては一部のお店で食べるのと家庭で調べてレシピを検索して作る以外には詳しく勉強したわけではない。カレーについてきちんと勉強する必要があるのではないだろうか。

 

 そこで、カレーに関連する資格や勉強できるところを探してみた。意外とあるものだ。

 

カレーに関連する資格、

①スパイス香辛料ソムリエ
②スパイスインストラクター
③インド料理ソムリエ
④インド食文化士

⑤スパイスコーディネーター
⑥カレーマイスター

⑦スパイス&ハーブ検定1級から3級

⑧カレー伝道師

⑨カレーエキスパート

⑩カラープロデューサー

11カレーインストラクター

12カレー博士

 

①スパイス香辛料ソムリエ、②スパイスインストラクターは同じ講座で取れる資格で、在宅受講実技なし。スペシャル講座だと料金は+10000円で資格試験なしに卒業課題だけで資格取得という通信教育によくある形態

③インド料理ソムリエと④インド食文化士も同一の形態。主催が同じ諒設計アーキテクトラーニングで、同一講座でダブル資格、在宅受講実技なしの料金上乗せで受験免除。
共に最短2ヶ月、試験あり59800円+受験料10000円または、試験なし79800円卒業課題のみで取得可能。

 ざっくりした知識を閲覧するにはいいかもしれないが、正直コストは高いし店舗経営上役に立つかと言われると……という感じ。通信教育全般そうだけど、とりあえずなんかやってみた感。これならメジャーな知識本とレシピ本読んだ方がいいんじゃないかと思う。

 

⑤スパイスコーディネーターはスパイスコーディネーター協会の資格。
初級は通信教育.中級以降は2時間✖️10回の教室での受講、上級は料理実技セミナーと講義の受講になり、認定試験に合格すると資格取得,
実技がある分①〜④と比較して身にはなりそうだけど上級まで取るには約50万円費用が必要。

 

⑥カレーマイスターは日本野菜ソムリエ協会の主催する資格。東京会場か大阪会場で1日講義を受けに行き、終了試験を受けて資格取得。落第した場合は追試。48000円で1日で資格が取れるので箔をつけたいとかならいいかも。
移動はあるが通信教育よりは安い。会場近くに在住で、対面式がいい人には向いている。

 

⑦スパイス&ハーブ検定は山崎香辛料振興財団が行う資格。資格試験のみで、事前に財団推薦のテキストで勉強する形。1級は記述があるか、3級2級はテキスト1冊を読めば択一方式で8割以上正解すれば合格。受験料が5-6000円程度と安く全国で受験できることが魅力。
営利目的でない感じが好感が持てる。

 

 総じて、民間資格で実務に役に立つわけではないがある程度の知識は得られるって感じなので、何らかの肩書きが欲しい、全然その分野を知らないので1から学びたい、趣味で何かをやりたいとかでなければあんまり取得する意味はない。

 まあ、これ系通信教育大体全部そうだけど。

 

 スパイスコーディネーターだけは上級で実技が入るので少し違うが、正直言って50万円かけるならスパイス料理教室通ってカレー関連の本いっぱい読んで、自宅で作った方が有益じゃないですかねってなる面はある。スパイスの扱いとか実技で悩むなら選択肢。

 

 概ね料理教室やってるとか、街おこしとか、スパイス関連会社にいるとか、調理師免許持ってて自分の方向性を明確に打ち出したいとかなら一つ二つ受けてもいいかもしれない、程度。低コストならスパイス&ハーブ検定、東京大阪ならカレーマイスター、それ以外なら通信スペシャル講座でどれか取るかって感じか。正直一番有効活用できるのはアイドルとかYouTuberとかが、ちょっと変わった特徴づけとして取得するとかな気がしないでもない。
スパイス料理が得意なアイドルとか、カレー好きアイドルとか。すごい、もういそう。

 

⑧カレー伝道師以降はカレー機構が運営するカレー大学の資格。ここだけ少し毛色が違うというか、取得後の事を視野に入れて設定している形態になっている。これ運営が上手いなあ。

 

 全てカレー機構が運営しているカレー大学を受講すると取得できる資格なのだが、カレー大学だけで、カレー伝道師、カレーエキスパート、カレープロデューサー、カレーインストラクター、カレー博士の資格がある。

 上手いのは、まず資格に階層を作って取りたくなるようにしている事(総合学部受講で伝道師、その次の各専門学部受講でエキスパート、さらにその後の大学院受講でカレープロデューサー、インストラクター、カレー大学インターンまで受講してカレー博士という形)。それから資格取得後の仕事の斡旋をうたっている事、その仕事がメディア関連からカレー大学内の仕事まで運営が生み出すものがある事、仕込みなのか努力なのかわからないが実績がある事、この辺他の通信教育とかと違って「先」があるように見えることはいい印象。ただし実際そこまでの恩恵を受けるのは少なくても、35000円かけてカレー伝道師、11万かけて専門コース、30万かけて大学院まで出た後となる。専門コースまでではおそらくだが仕事の斡旋があるわけではない。カレーインターンまで行くと、1年間のマンツーマン講義と論文、実技を経て株式会社カレー総合研究所の研究員となり、メディアに出たりするらしい。これはもう資格というより入社前講習的なものではあるまいか……。でも、トータル100万以上かかるんだぜ……。

一応フリーで信頼できる有識者を育て上げて仕事を斡旋する形なのだろうか。

 

 卒業生の声とかで、事実役立ってるじゃないかと印象づけてるのも大きい。ただまあ、実際カレー伝道師、それ以上のエキスパート、プロデューサー何人くらいいるのか母数がわからないので、職業として目指すの有益なのかはわからい。

 

 ちなみにカレー機構の面白いというか上手いところは、初期は資格を取るためにテストがあり、受験資格としてカレー関連の仕事実務一年以上またはカレーをメインとする料理研究家3年以上、または100店舗以上の食べ歩きもしくはレトルトカレー200食のレポートをした者というマニア枠を作っていたこと。試験だけだと3500円だしキン肉マン検定みたいなものでカレーマニアならいっちょ受けてみようかなと思わされる。SNSでも広報になってたんではないかと。現在は試験はなくなり受講のみになっている。おそらく初期の広報という役目を終えて、コストと手間がかかるテスト形式でなく、受講形式に変えたのだろう。まあ、WEBの試験のとこ修正せずに残しているのでちょっとそれはどうかと思う。僕試験受ける気満々で食べ歩きしてたからね。

 

 座学系以外だと、スパイス系料理教室。

 通常の料理教室で基礎から学ぶのもありだが、やっぱり知りたいのはカレーを美味しくするためのスパイスの配合や扱い、特にスパイスは掘り下げると馴染みのないやつがいっぱい出てくるので、勉強してみたい。ランペとかポピーシードとかパンチフォロンとかメティシードとか正直こんなものでいいのか使ってても塩梅がわからない。

 

都内で行けるのは、

シェフクリエイトのエスニックコースが、自由が丘でスタートの1DAY約8000円と4ヶ月コースが8回で270000円。

https://chefcreate.jp/4month-course#toc1

 

キッチンスタジオペイズリーが三鷹で8つのスパイス料理のコースがあり5ヶ月5回44000円のビギナーコースから、66000円の南インド料理コースなどがあり。

https://curry-spice.jp

 

板橋区のタイ&スパイス料理教室マナーオは初回7000円で2回目から6000円

http://manaao-kitchen.com/concept.html

 

横浜のインド家庭料理ラニは休講中

 

渋谷の一条もんこ先生のスパイスライフは不定期で定期コースはなし。

 

西荻窪のサザンスパイスは良さそうだったんだけど2024年にて料理教室は閉鎖とのこと。

 

困ったらサザンスパイスに行こうと思ってたんですけどこれだと距離的にもペイズリーかなあ。

 

 

カレー屋開業計画顛末記④間借りカレー開業シミュレーション

 さて前回間借りカレーでの開業を考えたわけだが、もう少し煮詰めてみる。

 物件は引き続き探していくがとりあえず、仕事をしながらの開業になるので土日祝だけの間借りで立川八王子周辺での駅近く、この条件で調べてみる。

 立川のダイニングバーが全日8:00〜17:00で月85000円、席は14席があった。高円寺の居酒屋が土日祝昼だけで月55000円も魅力的だが今回は近さを重視して立川での開業をシミュレートしてみよう。


 基本的に仕事があるので休みとなる木日の週2日営業となる。ランチタイムに絞るとこになるので準備と片付けを考えると、実質の営業時間は長くても10:00〜15:00くらいだろう。お試しで人を雇う訳にもいかないのでワンオペで賄える範囲となると時間6人くらいが限界か、オペレーションはメニュー内容や品目を絞る事で簡便にするとして、想定する客数は5時間✖️6人の30人となる。もちろん回転率が良くてもっと捌けるとか、軌道に乗れば人を増やして最大席数の回転を考える訳だがそのあたりはやりながら擦り合わせていけばいいだろう。さしあたりの目標としては30人、少し余裕を見て40人分の料理を準備する。


間借りなので参考値にはなるが、経営指標によると、

飲食の店舗当たりの標準売り上げは坪月20万(この間借り物件での数値なら7坪✖️20万=140万)

席数は坪数✖️1.3〜2(9〜14)

客回転率は67%

売上原価➕人件費(FLコスト69% 96.6万円)

家賃 売上の10%以下(14万円)

利益 売上の10%以上(14万円)

料金 ドリンク 原価10-15%

   料理   原価20-25%

が目安となる。


では、客40人を想定して準備をする。

間借り料85000円

告知はsns(X、Instagram)を使用。

間借りする店舗に置いてもらうチラシ1000枚(約3000円)とお店の名刺1000枚(約2000円)。

店の前に置く看板(8000円)

メニュー表 自作

お冷用プラスティックコップ20個 3000円

お冷用の水差し 2つ 4000円

ワンプレート用の皿20枚 7000円

ドリンク用のコップ20個 5000円

使い捨ておしぼり1700円

紙ナプキン+スタンド 5000円

コースター 1700円

トレイ   2000円

スプーン  6000円

フォーク  6000円

ペーパータオル 800円

レジはSTORES決済にしたいところだがひとまず現金のみにしておこう。

 

 初期投資は什器代の49000円。

 月の経費は家賃(85000円)と材料代、消耗品(おしぼり、紙ナプキン、コースター、ペーパータオルなど、およそ7000円程度)だけとなる。営業日が8日、1日40食のカレーの準備、ドリンクとして、材料代がおよそ250円✖️40食で1日10000円、ドリンクは全員頼むわけでないので初めはラッシー、オレンジジュース、コーラ、アイスコーヒーあたりを少なめに用意して材料代1500円。

 

月々の経費

家賃85000円

消耗品7000円

材料代11500×8日=92000円

交通費12000円

総計 196000円

となる。 約20万円だ。


減価率からカレーは25%として250円✖️4で売価1000円。

ドリンクは減価率15%として、売価500円

8日全て稼働して満席だった場合で4人に一人はドリンクを頼んでくれた場合、

8日×1000料理販売価格×40食+8日×10食×500ドリンク販売価格=360000となるが、満席は無理なので経営指標の回転率=67%を目安とすると24万円が売り上げとなる。(実際は席数に余裕はあるので正確な回転率ではない)

この場合利益は4万円。まずはここを目標としよう。

 仮に週休2日で週5日、月22日働いた場合。単純計算で月10万円の利益となる。流石に本業としてやってはいけないが、本業となれば稼働時間もメニュー数も変わる。

 

 今回の目的は、主にオペレーションの確認とお客さんの反応を見ることだ。お店舗までの仕込みをした食材の搬入、継続して営業時間にお客さんに料理を提供できるか、複数メニューが可能か、トッピング、ドリンクまで手が回るか、導入、注文、提供、会計、片付け、洗い物等がスムーズに行えるか、集客はどうか、食べたお客さんの感想、反応はというところなので適正利益についてはまた考えればいいと思う。

 というわけで、概算に概算を重ねたものだが、間借りカレー開業のシミュレーションができた。

 

 次はソフト面についてだ。

カレー屋開業計画顛末記③ テナント以外の開業法

 さて、0からテナント開業はなかなか難しいことが前回分かった。資金力が必要でギャンブル性が高い。元々飲食店の10年生存率は10%、半分は2年以内に廃業と言われている。よほど出物の物件がない限りリスクが高すぎる。ひとまず、いいテナントが出るのを待ちながら他の方法を考えることにする。

 

 まず思いつくのはキッチンカーだ。店舗が必要なく、その分初期投資が低い。キッチンカー自体が中古で250万。テナントの場合と違い、物件契約費、内装工事費がなくなり、厨房設備費も少なく、備品も基本使い捨てのものになる。運転資金で150万、厨房機器、容器、カトラリー、受け渡し袋など消耗品購入費、広告費、レジ、椅子とテーブルなど含め初期投資で500万あればなんとかなりそうだ。デメリットは出店場所が限られること、毎日営業できるわけではないこと。日数が限られるとから在庫ロスが出やすいこと、メニューが限られることだ。あとは、老後にのんびり働くイメージとは程遠いことだろうか。選択肢としては考えておこう。いきなり勝負が怖いならキッチンカーのリースという形態も可能だ。半年契約月20万の「試してキッチンカー」や月8万のリースなどもある。結果的に費用はかかることになるが低投資でチャレンジするならそれもありかもしれない。

 場所探しはmellow(売上の15%)、ネオ屋台村、自由市場、軒先新聞、軒先ビジネス、フリースタイル、D-SPACE、ジモティー、IHOKなどのネット系から、商工会議所や観光協会、公園管理事務所に登録する事で行うことになるが、特に東京では場所の取り合いが起こるのでこれがなかなか難しいようだ。

 東京のキッチンカーは3800台だそうな……。


 もう一つはフランチャイズ。カレー屋のフランチャイズCoCo壱が有名だが、CoCo壱は素人がいきなり店を開いても成功するわけがないという事から、フランチャイズ希望者には店舗で働いて店長を経験してオペレーション、雇用、経営、接遇、教育、人材管理を学んだ段階でフランチャイズを認めるという特殊な形態をとっている。なるほどごもっともなんだが、平均で開業までに7年かかるらしい。さすが1200店舗という桁違いの店舗数を持つだけのことはある。しっかりしている。しかし、まあ7年は流石に長いし、僕は自分でカレーを作りたいのであってフランチャイズをやりたいのではない。

 他のフランチャイズ、日乃屋、エスパーイトウ、カリガリ、チャンピオン、Cfarm、インデアン、ゴールドなどは自己資金は少なくても大丈夫という事だが、そのまんまCoCo壱の忌避する「知識もスキルもないのに開業」ということになってしまう。

 また、契約期間の問題もあり、日乃屋は10年、エスパーイトウは7年、マジカレーは5年契約が必要となる。開業ということだけ考えれば店舗の選定からマニュアル、資金繰りまで助けてくれるところもあり初期投資は最も少なくて済むが、最も失敗しそうでもある。どちらにせよ、カレーを作りたい僕にはフランチャイズは向いてそうにない。


 最後に最近のカレー屋の主流、間借りカレーだ。

 なんといっても、テナント開業のネックとなる内装工事費が全くかからないこと、保証金が必要ないことがでかい。ダメな時はその月で撤退すればいいので運転資金も少なくて構わない。②のテナント開業シミュレーションで出した下記の数字で言えば上の三つは必要なくなる、

 

テナント開業資金内訳

物件契約費 100万

 

内装工事費 1070万円

 

厨房設備費 200万(冷蔵庫、冷凍庫、炊飯器、作業台、洗浄設備、オーブン、レンジ、製氷器、テーブル、椅子、調理器具など)

 

備品 50万(メニュー表、食器、コースター、紙ナプキン、紙おしぼり、トレイ、伝票、傘立て、時計、掃除道具、ゴミ箱、ストロー、レジなど)

 

広告費  50万(看板、ネット広告、フリーペーパーなど)

 

運転資金 390万円

 

合計 1860万円

 

 備品類も必要なものだけで構わない。維持費が少ないので必然的に運転資金も少なくていい。営業形態にもよるが広告だけは、元の店舗と違う事をするので力を入れなくてはならないが、月契約の間借り料約10万と、備品(メニュー、食器、コースター、ナプキン、おしぼり、トレイ、伝票、ストローなどの食器と消耗品)、広告費をふくんで50万弱で開業自体はできてしまう。さらに、オペレーションがうまくいかない、集客ができないなどで赤字の場合は即撤退が可能。最近の開業に間借りが多いわけである。間借りカレーの特集を組んだグルメ情報サイトも出ているくらいだ。

 最も、間借りが一般化した結果、1日店舗貸し15000円など昔あった短期貸し出しが減り、月契約がほとんどになっている。吉野家ホールディングスが運営するシェアレストランなど、もうその辺りの外枠が出来上がった状態だ。

まあ、ある意味参入はしやすいということだ。


 間借り先は、軒先、スペースマーケット、シェアレストラン、店タクあたりで探すことができる。(店タクは動いているのか微妙な感じ、スペースマーケットは飲食の間借り情報はごく一部なので、軒先とシェアレストランが本命だ)

 

 低コストでお試しができて、オペレーションやお客さんの反応が見られる。ダメなら撤退もしやすい。軌道に乗ればその時に開業を考えればいい。数年間借りで名前を売って、客がついてから開業も可能だし、仕事しながらお試しができる。内装やメニューに制限はあるし、即開業して収入を得たい人には向かないが、僕のような仕事をしながら副業や転職を模索している人にはちょうどいい。

 ちょっと本気で間借り開業を考えてみよう。八王子、立川の駅周辺だと概ね平日の9:00-16:00で8万前後、土日も営業で10〜13万、逆に土日だけだと5〜8万くらいで間借り自体は可能だ。

 

 

カレー屋開業顛末記② 開業シミュレーション

 カレー屋をやってみてもいいかも知れない。そう考えたら次は下調べだ。半ば趣味でやるとしても流石に赤字の垂れ流しは避けたい。準備は必要だ。できればプラス、最低でもトントンは目指したい。


 さて、ではどんな店にするのか、具体的なメニューは後日考えるとして、好みとしてはスパイスカレーまたは欧風カレーの専門店。規模としては1人2人で運営できるこじんまりとした店ということになる。

 今まで行った店で考えても、席数で10席程度がはじめてやる店としては妥当な所だろう。広すぎても家賃がかかるし、初期投資が多くなる。席数が多くなればそれに対応する人件費もかかる。20席を超えるような規模だと相当に知名度か広告か立地が問われるだろう。、


 ではそれくらいの規模の店舗を運営するとして、初期投資を計算してみよう。西多摩在住なので店舗は八王子か立川の駅近く。試しに貸店舗を調べてみる。想定する物件に近いもので考えてみるのがいいだろう。

 

 ちなみに概算で算出しているウェブサイトによると開業資金は平均1800万円、大体500万から3000万が目安になるらしいが、レンジが広すぎて全然参考にならない。もうちょっと具体的な数値が欲しい。


 ということでテナントを検索、

駅徒歩5分、13坪、家賃月25万、敷金なし礼金1ヶ月分保証金3ヶ月分 管理費1.8万、

実際に出ていたこの物件が想定に近い。

 この物件で物件契約費、内装工事費、厨房設備費、備品、広告費、運転資金などを含めた初期投資を考えてみる。


 物件契約費は家賃25万円✖️保証金3ヶ月+礼金1ヶ月で100万、厨房設備費と備品、広告費などは開業準備紹介サイトなどの数字を引っ張ってくると、設備費200万、備品50万、宣伝費50万。ただし、広告はSNSだよりでそれほど力を入れない予定としておく。


 また、開業しばらくは認知不足でお客さんが確保できないことを考えて運転資金は固定費の半年分を準備するようにとある。家賃と電気ガス水道、原材料費、広告費、人件費✖️6ヶ月が必要となる。人件費は軌道に乗るまで1人でやる、広告はInstagramと X、食べログと看板にたよるとしても、材料費と洗剤やおしぼりあたりで甘めの想定で家賃26.8万+備品電気ガス水道10万円+原材料費25万円+広告3.2万として65万円✖️6=最低390万円必要となる。


 問題は内装工事費。坪40万で計算している記事を見たが、東日本大震災東京オリンピックウクライナ問題などの資材不足、人手不足で工事費は鰻登りに上がっている。知り合いの設計士に聞いた所、現在では坪80万みてほしい。下手したら90万とのこと。スケルトンで借りて内装を1からやる場合、この規模でも内装工事費だけで1040万円となる。これはでかい。一応内装工事リースというものもあるが、こけた時のこと考えて初期投資はできるだけ押さえておきたい。


そうなると

物件契約費 100万

内装工事費 1070万円

厨房設備費 200万(冷蔵庫、冷凍庫、炊飯器、作業台、洗浄設備、オーブン、レンジ、製氷器、テーブル、椅子、調理器具など)

備品   50万(メニュー表、食器、コースター、紙ナプキン、紙おしぼり、トレイ、伝票、傘立て、時計、掃除道具、ゴミ箱、ストロー、レジなど)

広告費  50万(看板、ネット広告、フリーペーパーなど)

運転資金 390万円

で1860万円となり、大体平均値となる。

物件をいくつか見た感じ、保証金が6-10ヶ月分、仲介手数料が3ヶ月分のところが多いので物件契約費はもう少しかかる可能性が高い。


 これはなかなか厳しい。

経営指標通りならば、坪売上は月二十万、つまり13坪での売り上げは260万が目安。利益は売上の10%が目標のため月利益は26万。ここから生活しながら1860万を回収するということになる。もちろん大成功して問題なしの場合もあるだろうが、飲食初めてでそんな夢を期待するわけにはいかない。


 初期投資の大半を占める内装工事費を削ればもう少しなんとかなるので、スケルトンの建物より飲食の居抜き、できればカレー屋の居抜きがあれば大幅に初期投資を減らすことはできる。この場合内装代は200万程度、900万程度の初期投資で開業をすることができる……んだけど、こちらもなかなか厳しい。


 まず、探してみたがそもそもカレー屋の居抜き店舗というものがほとんど見つからない。

 次に、飲食店の成功失敗は9割立地で決まると言われているので前の店舗がこけたのであれば同じく失敗する可能性が高い。大手チェーンが強いのはここのノウハウを抑えているからだ。前の店舗が歳で引退したとか、あまりにも周辺環境と店舗形態があってなかったとか、余程放漫経営だったとか、接客が酷かったとかでない限り、普通にやって普通に潰れたなら二の舞になる可能性が高い。ここでしか食べられない唯一無二のメニューだとか、なんとかグランプリ優勝のシェフだとか派手なオプションと料理のスキルがあればまた違うかもしれないが、僕はそんな肩書きもスキルもない。そんな立地度外視で客が来るのは1%の上澄層だ。美味しいものをつくっていれば、自然に客が付いてくるというなどというナイーブな考えは捨てろとラーメンハゲも言っていた。

 

 詰まるところ飲食業は立地とプレゼンで勝負にならなければ味と接客で取り戻すことはほぼ不可能なのだ。(客がついてくれるまで赤字経営をし続ける資金力と、SNSバズなどの起爆剤があればまた別だが)


 そんなわけでいきなりテナント開業はなかなか難しい。今の時代にこれが選択肢に入るのは、チェーンノウハウがあり看板で集客が可能な大手飲食店、個人なら有名店で修行して客がついた状態での独立(近いのが二郎系)、または、自宅が店舗等テナント代・内装費がごく軽微で済む場合、豊富な事故資金がある場合、居抜きで有料物件が出た場合、ガレージ改装など初期投資が抑えられて営業形態が自分のやりたい店舗形態と噛み合った時くらいだろう。


 では、開業は無理だろうか?

 ひとまず他の方法を考えてみよう。